先日行った文京区議会の一般質問の録画が、区議会ウェブサイトで配信されています。今回も子育て、防災、まちづくりを中心に10項目を質問しました。映像は1時間ほどあるので、まず大きく前進した2つをお伝えし、そのあと10項目を順番に解説します。
録画はこちらです
https://bunkyo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=695
答弁の読み方を少しだけ。区の答弁には決まった言い回しがあり、前向きな順に「すすめてまいります」「検討します」「研究します」「考えはございません」といった段階があります。「検討」は具体的に事業を検討するという意味で、時期はわからないものの実現される方向です。「研究」は今後調べていく段階で、実現は未定です。
今回の前進その1 育成室の退室ルール
親が育児休業を取ると、上のお子さんが育成室を退室しなければならない。本区では令和5年度から7年度の3年間で59人が退室しています。国は本年6月、育児休業中も放課後児童クラブの対象にできるとの事務連絡を出し、都も同じ趣旨の通知を出しています。
教育長からは、国の見解と都の通知を受け、受入れ枠の確保と「運用ルールの見直しについて早急に取り組んでまいります」との答弁がありました。「検討」より一段前向きな、動くと約束した答弁です。
下の子が生まれると、上の子は赤ちゃん返りをすることがあります。そんなとき、いつもの育成室に行けば、いつもの友達と指導員がいる。4人の子の親として、この変わらない日常の大切さは身にしみています。見直しの中身と開始時期を、これからも追いかけます。
今回の前進その2 止水板の助成
止水板は、玄関や駐車場の入口に取り付けて、建物に水が入るのを防ぐ板です。本区の助成実績は5年間で0件でした。いまの助成は、高齢者や障害者の住宅をバリアフリーにする制度の一部に置かれていて、助成額も工事費の10%、上限20万円にとどまります。水害対策として使える形になっていないのです。
今回、既存の助成については「研究」でしたが、「都の補助制度も活用する等、有効な浸水防止対策について、今後、検討してまいります」との答弁を得ました。都は区の負担の半分、1件50万円まで補助しています。これを使えば、区の負担を抑えながら上限100万円の制度をつくれる計算です。来年度予算での実現を求めていきます。
ここからは、10項目を順に解説します。
はじめに 予算編成方針と決算
来年度の予算編成方針に初めて書かれた「強靭で引き締まった財政運営への転換」の意味を聞きました。区は、基金、つまり区の貯金の残高がゆるやかに減っていることを課題とし、効果の下がった事業を見直して、優先度の高い事業に予算を回すと説明しました。
財政のゆとりを示す経常収支比率が上がった要因は、人件費や扶助費などが約20億円、システム経費などが約24億円増えたことでした。目標値はないとのことです。数字が悪化しているのに目標がない。この点は委員会で引き続き聞いていきます。
①【災】熊本で見てきた、こどもの居場所とごみの置き場所
8月に熊本地震の被災地でボランティアをした経験から質問しました。
避難所のこどもの居場所は、本年度改訂する避難所運営ガイドラインに、オープンスペースや学習スペースの整備を検討することが盛り込まれるとのことです。防災キャンプは、対象者や訓練内容を検討するとの答弁でした。被災したこどもの心のケアは、発災直後は医療救護部、復興本部ができた後はこども未来部と教育推進部が担うことが示されました。
災害ごみについては、令和6年10月に図上訓練を行い、計画を円滑に進める手順が課題として挙がったことがわかりました。一方で、仮置場の候補地を事前に区民に知らせることは予定していないとのことです。
災害ボランティアセンターの常設化と、防災士を中心にした災害支援チームの創設は、どちらも「考えはございません」でした。宇土市で見た混乱を思うと、ここは引き下がれません。
②【災】川があふれなくても、街は浸かる
都の想定では、区の南側などで下水道があふれ、最大5メートルの浸水が起こりうるとされています。川があふれなくても街は浸かる。このことを多くの方に知っていただきたいと思います。
神田川の水害対策では、具体的な数字が出ました。水防対応が必要な8つの橋に、水をせき止める角落しが6か所、防水扉が5か所あります。設置は新宿区と調整したうえで区の対策本部が決め、区職員が作業します。最も人手がかかる隆慶橋の角落しは8人で30分程度、防水扉は3人で15分程度だそうです。休日や夜間の急な豪雨で本当に間に合うのか。この数字をもとに委員会でさらに詰めます。
8月22日に避難所を開けずに垂直避難を呼びかけた理由は、雷雨の中で避難所へ移動する危険を考えたためとの説明でした。シビックセンターなどを自主避難施設として決めておく提案は「研究」でした。
③【福】プールの一般利用から視覚障害者を排除するな
視覚障害のある方が、壁までの距離を知らせるタッピング棒を使って区のプールで泳ぐことを止められた件です。昨年も質問し、「適切に対応してまいります」との答弁を受けていました。
今回、区はタッピング棒自体を危険とは考えていないこと、これまで事故も特段の意見もなかったことを示しました。そのうえで、区と指定管理者の対応に合理的配慮の認識が不十分なところがあったと認めました。昨年の答弁の時点で、使用のルールが明確になかったことも明らかになりました。
介助者の利用料の減免を1名から増やすこと、補助用具の扱いについても検討するとの答弁です。専用レーンの設置も提案されています。1年かかりましたが、区が非を認めたことは大きな一歩です。
④【福】診断より先に、困りごとから始める相談を
本年4月、私はADHDと診断されました。相談先がわからず、40歳まで苦しみながら折り合いをつけてきた当事者として質問しました。
答弁は、大人の発達障害は症状が多岐にわたるため一律の調査は困難、相談件数も把握していない、専門の窓口や職員は置いていない、というものでした。保健師が話を聞き、都の支援センターを案内しているとのことです。困っている人がどれだけいるのか、数字がないこと自体が課題だと感じています。まずは区のホームページでの周知から始めるとのことなので、その中身を見ていきます。
⑤【AI】録音、通報、区民の声。AIはどう整理するか
この項目は、調査から原稿まで生成AIに任せて作りました。
本年4月に始まった区役所の通話録音は、再生して確認した件数が15件、高圧的な電話やいたずら電話は減っているとのことです。提案が形になり、効果も出ています。ただ、本庁以外の100施設、約1,000人の職員には、一律の導入は難しいとの答弁でした。学校の電話は、交換機の更新に合わせて一部に録音装置を付けているものの、拡充には課題の整理が必要と教育長が答えています。
区民の声は、昨年度1,860件のうち約3分の2が同じ方からの意見だったことが明らかになりました。そのうえで、AIで大量の意見をまとめて読み解くブロードリスニングの考え方も踏まえ、公開のあり方を検討するとの答弁です。これも前進です。
⑥【子】赤ちゃんが来ると育成室を追われる上の子問題
冒頭でお伝えしたとおり、運用ルールを早急に見直すとの答弁でした。あわせて教育長は、育成室は安全な預かりにとどまらず、他学年の子との関わりや意見の尊重を通じて、自己肯定感を育める場所であることがこどもにとって最も善いと答えています。この考え方に立てば、上の子を退室させる理由はなくなるはずです。
⑦【街】区民の声を聞いてつくる公園。意見のちがいを恐れるな
竹早公園と小石川図書館の一体的整備は、図書館、公園、テニスコートそれぞれで調査を進めているものの、公表時期は示せないとの答弁でした。ワークショップの再開に時間がかかっている理由は、これまでの意見を踏まえた課題の検証と、建設的に議論するための調査に時間を要しているためとのことです。
インクルーシブな公園については、障害の有無や年齢、国籍にかかわらず、誰もが一緒に遊べる環境が備わった公園という区の認識が示されました。礫川公園は具体的な計画はないものの、再整備の際はインクルーシブの考え方も含めて検討するとのことです。
⑧【街】家族が増えても出ていかなくていいまちへ
子育て世帯の住まい探しの支援は、限られた財源の中で対象を拡大する考えはないとの答弁でした。空き家を活用する事業の実績がゼロの理由は、転用できる空き家が市場に出てしまい数が少ないため、住宅への対象拡大も予定していないとのことです。
生活保護の住宅扶助は、一律に特別基準を使う考えはないものの、区長会を通じて国に基準の見直しを要望していることがわかりました。この分野は厳しい答弁が並びました。不動産業に携わってきた立場から、次は具体的な制度設計を示して問い直します。
⑨【福】ひとりでも、ちゃんと送られる
病気のときに世話をしてくれる人がいない高齢者は、区の計算で約6,600人にのぼることがわかりました。身寄りのない高齢者の暮らしから葬儀までを支える社会福祉協議会の文京ユアストーリー事業は、区が高く評価しており、国や都の補助も確保しながら支援を続けるとの答弁です。新規契約は直近3年で9件、3件、5件でした。
文京区版のエンディングノートの作成と、区内に合同のお墓を設けることは、考えていないとのことでした。引き取り手のないご遺骨は、区外の霊園に合葬されていることも示されました。
⑩【長】この任期の総括と、次の4年のリーダーは
区長の5期目の振り返りは、全体として着実な成果を挙げることができたとの答弁でした。7つの政策的課題ごとに到達点と課題を示してほしいとお願いしましたが、個別の評価は示されませんでした
区長ご自身の育児休業等に関する条例については、任期にかかわらず、準備が整い次第、改正案を議会に諮るとの答弁です。給与の水準は一般職員の給付の率を参考にするそうです。育児休業を取る可能性はないとしつつ、介護休暇の必要性は現実に感じていると語られたのは、率直な言葉でした。
次の区長選挙への意向は、これまでも議会の場で示したことはなく、適切な時期に示すとのことでした。
再質問について
58分からは、再質問をしている様子がご覧いただけます。障害者水泳について、答弁に含まれていなかった点を改めて伺いました。文京区議会では、再質問はめったに行われません。イレギュラーな対応にご協力いただいた議長区長をはじめ関係者の皆様に、感謝申し上げます。
これから
検討と言われた項目は、言いっぱなしにならないよう、来年度の予算や事業の動きで確認していきます。研究やゼロ回答だった項目は、私の問いの立て方にも工夫の余地があったのだと思います。次の委員会、次の定例議会で、角度を変えてもう一度聞きます。ご意見があれば、ぜひお寄せください。


