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自室の机にて

こんな風にして、僕の“短い”旅が終わった。
良いよりも悪い思い出の方が多く、分類したら3分の2くらいは悪いに該当するだろう。
ただ、悪いこと続きだったから旅に出て後悔したかというと決してそんなことはなく、
単純に言ってしまうと“アツい30日”だった。
日記に書いたのは、一日の出来事のうち強く印象に残ったものだけだ。
今になってみると、書かれなかった部分にインドらしさが凝縮されているなァと思う。
それは例えば、サイクルリクシャのオジサンがお釣りのRs5を返さずに喧嘩になったことや、牛の糞で滑ったこと、ハエがカレーに止まっても気にしない自分に驚いたこと…などだ。
インド各地であれだけしつこく麻薬を薦められたのに買わなかったわけが今ならわかる。僕はこの1ヶ月、旅と呼ばれる麻薬をいっぱいに吸っていたのだ。
故郷を離れ、違う文化の、知らない土地の空気を吸う。それだけで僕は心から満たされる。そして“麻薬”が切れるとしばらくして苦しくなる。
来年から激務だと言われているIT系の会社に勤務することが決まっている。この“麻薬”を吸わずして、いつまで自分を保てるかどうか…。
いつだったか「60歳になったら、身の回りの整理を済ませて自転車で世界一周の旅に出るんだ。先に死ぬかもしれない。」と恋人に言ったら、じゃあ結婚はできないよと少し怒って言われた。
彼女は僕の人生に欠かせない人だけれど、それ以上に“麻薬”が体を蝕んでいく。
インドに行くと人生観が変わる!と、よく言われるほど飛び抜けてすごい国だったとは思わないし、むしろ僕はインドが嫌いになった。インド人ならまず疑うし、頼まれてもインドなんか二度と行かない。
インドは、生も死もあっさり受け入れるガンジス河のような国だ。それは好きか嫌いかなんて関係なく、全てを無条件に包み込んでゆっくり海へ向かう流れだ。いつかまた、その流れに身を任せてしまいたくなる日が来るような気がしてならない。でもそれは今日や明日ではない。今はインドが大嫌いだからだ。
以上がインドで感じたことだ。日記はちゃんと練り直してから載せようと考えていたのだが、当時の思いに手をつけない方が良いと思ったので、あえて残した。
嘘だ。面倒だったからだ。
読んでくれた人、旅の間心配してくれた人、ありがとうございました。
終わり

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